知らないと回避できない行動経済学

― 私たちは「合理的」ではなく「人間的」に損をする ―

「なぜか損な選択をしてしまう」
「分かっているのに、同じ失敗を繰り返す」

それは意志が弱いからでも、能力が低いからでもありません。
原因は、人間の思考のクセにあります。

このクセを体系化した学問が行動経済学です。
そして厄介なのは、知らないと回避できないという点にあります。


行動経済学とは何か?

行動経済学とは、

人は必ずしも合理的に判断しない
むしろ「感情」や「思い込み」に強く影響される

という前提に立って、人間の意思決定を研究する学問です。

つまり
「人は間違えるようにできている」
これがスタート地点です。


① サンクコスト効果

〜「もったいない」が判断を狂わせる〜

サンクコスト効果とは、
すでに払ってしまったお金・時間・労力に縛られる心理です。

具体例

  • 映画がつまらないのに「お金払ったから最後まで見る」
  • 合わない仕事を「ここまで頑張ったから」と辞められない
  • 含み損の株を「戻るまで売れない」

👉 重要なのは「これから」なのに、人は「過去」に引きずられる

回避法
👉「今から始めても同じ選択をするか?」と自分に聞く


② 現状維持バイアス

〜変えないことを選んでしまう心理〜

人は、変化によるリスクを過大評価し、
現状の不満を過小評価します。

具体例

  • 高い保険を「面倒だから」見直さない
  • 不満のある働き方を「慣れているから」続ける
  • サブスクを解約しない

👉 損をしていても「今のまま」が一番ラク

回避法
👉「放置=選択している」と言語化する


③ 損失回避バイアス

〜得よりも「損」が2倍つらい〜

人は
同じ金額でも「得する喜び」より「失う苦痛」を強く感じる
と言われています。

具体例

  • 投資を始められない
  • チャンスがあっても挑戦できない
  • 小さな失敗を過剰に恐れる

👉 結果として、何もしないことが最大のリスクになる

回避法
👉「失敗したら何を学べるか?」に焦点を移す


④ アンカリング効果

〜最初に見た数字に縛られる〜

最初に提示された数字が「基準」になってしまう心理です。

具体例

  • 定価10万円 → セール5万円で「お得」に感じる
  • 年収◯万円が「低い・高い」と感じる基準になる
  • 最初に聞いた意見に引っ張られる

👉 基準そのものが操作されていることが多い

回避法
👉「その数字の根拠は何か?」を考える


⑤ 確証バイアス

〜見たい情報しか見ない〜

人は、自分の考えを肯定する情報だけを集め、
否定する情報を無意識に避けます。

具体例

  • 自分に都合のいい投資情報だけ信じる
  • 反対意見を「分かってない」と切り捨てる
  • SNSで同じ価値観ばかり見る

👉 間違いに気づけなくなるのが最大のリスク

回避法
👉 あえて「反対意見」を1つ探す


なぜ「知らないと回避できない」のか?

行動経済学の罠は
自覚できないレベルで働くからです。

  • 気づいたときには選択が終わっている
  • 「自分は大丈夫」と思っている人ほど影響を受ける

つまり
👉 知識がない=防具なしで戦っている状態


行動経済学を「味方」にする考え方

大切なのは
完全に合理的になることではありません。

  • 自分は必ずバイアスに影響される
  • だから「仕組み」で対策する

  • 自動積立で感情を介さない
  • 重要な判断は一晩置く
  • 数字・事実を書き出す

まとめ

行動経済学を知ることは「自分を責めない」こと

失敗しやすいのは、
あなたがダメだからではありません。

人間はそういう生き物だから。

だからこそ

  • 知って
  • 気づいて
  • 少しだけ仕組みを変える

それだけで、
人生の「無駄な損」は確実に減らせます。


ABOUT ME
ひと息さん
ひと息さん
7年間教員として子どもたちや保護者と関わる中で、「人生の計画を立てることの大切さ」を感じてきました。先生の仕事、プライベートの充実、節約貯金投資など、頑張りすぎず、でも前向きに。そんな働き方や暮らし方を一緒に考えられる場を目指します。FP3級/メンタルヘルス・マネジメント2種3種/基本情報技術者試験