クマが学校に出没!教員・管理職が今すぐやるべき安全対策マニュアル

はじめに
「学校の近くでクマが目撃されました」
この連絡を受けたとき、あなたはどう対応しますか?
2025年は全国でクマの出没が過去最多を記録し、学校周辺での目撃情報も急増しています。私自身、教員として7年間勤務する中で、実際にクマ対策の必要性を痛感してきました。
この記事では、学校現場で実践できる具体的なクマ対策を、登下校から校内対応、避難訓練まで網羅的に解説します。児童生徒の命を守るため、今すぐ実践できる内容をまとめました。
目次
- 2025年のクマ出没状況と学校への影響
- 登下校時の安全対策
- 校内でクマに遭遇した場合の対応
- 事前準備:学校ができる10の対策
- クマ対策避難訓練の実施方法
- 保護者への情報共有
- おすすめの防犯グッズ
- よくある質問
1. 2025年のクマ出没状況と学校への影響
クマ被害の現状
2025年は「クマ出没の当たり年」と言われています。
主な統計データ
- 全国でのクマによる人身被害:過去10年で最多
- 学校周辺での目撃情報:前年比150%増
- 出没時期:春〜秋だけでなく、冬季も報告あり
なぜ学校にクマが出没するのか
クマが学校周辺に出没する理由は主に3つあります。
- 餌不足による行動範囲の拡大
- 山の木の実が不作
- 住宅地・学校まで餌を求めて移動
- 学校周辺の環境
- 果樹や畑が近い
- ゴミ置き場が餌場になっている
- 裏山や雑木林が隣接
- 人への警戒心の低下
- 若いクマの増加
- 人間の活動エリアへの侵入が常態化
学校での実際の事例
事例1:登校中の遭遇
- 小学校で、登校中の児童がクマと50m先で遭遇
- 幸い、引率の保護者が大声を出して追い払った
- その後、1週間は集団登校を徹底
事例2:校庭への侵入
- 中学校で、早朝の部活動中に校庭にクマが侵入
- すぐに生徒を校舎内に避難させ、警察に通報
- 1時間後にクマは自然に退去
このような事例は決して他人事ではありません。
2. 登下校時の安全対策
基本原則:3つの「ない」
登下校時のクマ対策は、この3原則を守ることが重要です。
- 一人で歩かない
- 静かに歩かない
- 早朝・夕方に歩かない
具体的な対策
① 集団登下校の徹底
実施方法
- 最低3人以上のグループで登下校
- 低学年は保護者や地域ボランティアの付き添い
- 決められたルートを守る
効果
- クマは集団を避ける習性がある
- 万が一遭遇しても、大人数なら対応しやすい
② 鈴やラジオで音を出す
おすすめグッズ
- 熊鈴(カラビナ付き)
- 小型ラジオ
- ホイッスル
クマは人間の存在に気づけば、基本的に逃げていきます。音を出して「人間がいる」ことを知らせましょう。
【おすすめ熊鈴】
- コンパクトで音が大きい「モンベル 熊鈴」
- ランドセルに取り付けやすい「カラビナ付き熊鈴」
③ 明るい時間帯の登下校
時間帯の調整
- 登校:日の出後30分以降
- 下校:日没1時間前まで
- 部活動:早朝練習の見直し
クマは早朝・夕方に活動が活発になります。可能な限り明るい時間帯に登下校しましょう。
④ 危険箇所の把握
チェックすべき場所
- 雑木林や藪の近く
- 河川敷
- 見通しの悪い場所
- 果樹園や畑の近く
これらの場所は特に注意が必要です。通学路マップに危険箇所を記載し、児童生徒に周知しましょう。
万が一、クマに遭遇したら
遭遇時の行動
- 絶対に走らない
- 走ると追いかけてくる習性がある
- 大声を出す
- 「オーイ!」と叫ぶ
- ホイッスルを吹く
- ゆっくり後退
- クマから目を離さず、静かに距離を取る
- 物を投げない
- 刺激して攻撃的にさせる可能性
距離別の対応
- 100m以上:冷静に立ち去る
- 50m以内:大声を出して威嚇
- 10m以内:クマスプレー使用を検討
3. 校内でクマに遭遇した場合の対応
発見時の初動対応(5分以内)
STEP1:生徒の安全確保(最優先)
やるべきこと
- 近くの生徒を直ちに校舎内に避難させる
- 校内放送で全校に警告
- 窓・ドアの施錠を確認
放送例 「緊急連絡です。校庭にクマが出没しました。全員、直ちに教室に入り、窓とドアを閉めてください。外にいる生徒は、最寄りの校舎に避難してください。」
STEP2:通報(5分以内)
連絡先の優先順位
- 警察(110番)
- 自治体の環境課・農林課
- 教育委員会
- 近隣の学校
通報時に伝える情報
- クマの位置(校庭、駐車場など)
- クマの大きさ(推定体長)
- 生徒の安全確保状況
- 学校の住所と連絡先
STEP3:情報共有
校内での情報共有
- 全教職員に状況を共有
- クマの位置を随時更新
- 避難状況の確認
クマが校舎内に侵入した場合
最悪のシナリオへの対応
- 教室のドアを施錠
- 窓から離れる
- 生徒を廊下側に集める
- 静かに待機
クマは基本的に人間を避けます。騒がず、刺激しないことが重要です。
避難完了後の対応
確認事項
- 全生徒の人数確認
- 怪我人の有無
- 保護者への連絡
- 下校時刻の変更判断
保護者への連絡例 「本日、校庭にクマが出没したため、児童を校舎内に避難させました。現在、クマは退去し、安全を確認しています。念のため、本日は保護者のお迎えをお願いいたします。」
4. 事前準備:学校ができる10の対策
① クマ対策マニュアルの作成
マニュアルに含めるべき内容
- 発見時の初動対応フロー
- 通報先一覧(連絡先を記載)
- 避難場所の指定
- 役割分担表
② 避難訓練の実施
年に1〜2回、クマ遭遇を想定した避難訓練を実施しましょう。
訓練の流れ
- クマ発見の想定
- 校内放送
- 避難開始
- 人数確認
- 振り返り
詳しい訓練方法は後述します。
③ 通学路の安全点検
点検のポイント
- 見通しの悪い場所
- 藪や雑木林の近く
- 街灯の有無
- 緊急避難場所の確認
年2回(春・秋)の点検を推奨します。
④ 防犯グッズの配備
学校に常備すべきもの
- 熊鈴(複数個)
- ホイッスル
- クマスプレー(教職員用)
- 拡声器
- 懐中電灯
予算の目安
- 熊鈴:1個500〜1,500円
- クマスプレー:1本5,000〜8,000円
- ホイッスル:1個200〜500円
合計:1〜2万円で基本セットが揃います
⑤ 校舎周辺の環境整備
やるべきこと
- 草刈りの徹底(見通し確保)
- 果樹の管理(落下した実の除去)
- ゴミ置き場の管理(臭いが出ないように)
- 照明の増設(夜間の視認性向上)
⑥ 監視カメラの設置
効果
- クマの侵入ルートの把握
- 早期発見
- 記録として残せる
設置場所
- 校門
- 校庭
- 裏門
- 駐車場
最近は安価な防犯カメラも増えています。
⑦ 地域との連携
連携先
- 警察
- 自治体(環境課、農林課)
- 猟友会
- 近隣住民
- 他の学校
定期的に情報交換の場を設けましょう。
⑧ 保護者への啓発
周知方法
- 学校だより
- メール配信
- 保護者会での説明
- チラシ配布
保護者の協力が不可欠です。
⑨ 教職員研修の実施
研修内容
- クマの生態と行動パターン
- 遭遇時の対応方法
- 避難訓練のシミュレーション
- 救急救命講習
年1回、全教職員対象の研修を推奨します。
⑩ 情報収集体制の構築
情報源
- 自治体の出没情報メール
- 近隣学校との情報共有
- 地域住民からの情報
- ニュース・SNS
リアルタイムの情報が命を守ります。
5. クマ対策避難訓練の実施方法
訓練の目的
- 発見から避難までの流れを確認
- 教職員の役割分担の明確化
- 児童生徒の意識向上
訓練の実施手順
事前準備(1週間前)
- 訓練計画の作成
- 日時の設定
- シナリオの作成
- 役割分担の決定
- 教職員への周知
- 職員会議で説明
- マニュアルの配布
- 保護者への通知
- 訓練実施の連絡
- 目的と内容の説明
訓練当日の流れ(30分)
シナリオ例:校庭にクマ出没
| 時間 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 0分 | クマ発見(想定) | 教員A |
| 1分 | 校内放送 | 教頭 |
| 2分 | 生徒避難開始 | 各担任 |
| 5分 | 通報(訓練) | 事務職員 |
| 10分 | 人数確認 | 各担任 |
| 15分 | 校長講評 | 校長 |
| 20分 | 振り返り | 全体 |
放送台本例
「訓練、訓練。校庭にクマが出没しました。
外にいる生徒は、直ちに最寄りの校舎に避難してください。
教室にいる生徒は、窓とドアを閉めて、静かに待機してください。
これは訓練です。落ち着いて行動してください。」
振り返りのポイント
確認事項
- 避難完了までの時間
- 連絡体制の機能
- 改善点の洗い出し
生徒への質問
- どこに避難すればいい?
- クマに遭遇したらどうする?
- 走って逃げていい?(答え:ダメ)
訓練の頻度
- 年2回:春(5月)、秋(10月)
- 不定期:出没情報が多い時期
6. 保護者への情報共有
情報共有の重要性
保護者が正しい知識を持つことで、家庭でも対策が可能になります。
共有すべき情報
① クマ出没情報
共有方法
- メール配信(即時)
- 学校HP(随時更新)
- 学校だより(月1回)
記載内容
- 日時・場所
- 状況(目撃情報、足跡など)
- 学校の対応
- 家庭でできる対策
② 登下校時の注意点
保護者へのお願い
- 集団登下校の協力
- 登下校時の見守り
- 熊鈴の携帯
- 危険箇所の確認
③ 家庭でできる対策
チェックリスト形式で配布
- [ ] 熊鈴を持たせる
- [ ] 明るい時間帯に登下校
- [ ] 一人で歩かせない
- [ ] クマに遭遇したときの行動を確認
- [ ] 緊急連絡先を共有
保護者会での説明
説明内容
- クマの生態と危険性
- 学校の対策
- 家庭での協力依頼
- 質疑応答
実物の熊鈴やクマスプレーを見せると効果的です。
7. おすすめの防犯グッズ
① 熊鈴
選び方のポイント
- 音が大きい(100m先まで聞こえる)
- 軽量(50g以下)
- カラビナ付き(取り付けやすい)
おすすめ商品
- モンベル 熊鈴
- 価格:1,200円前後
- 音が大きく、軽量
- 登山用品店で購入可能
- カラビナ付き熊鈴(Amazon)
- 価格:500〜800円
- 手軽に購入可能
- 複数個セットでお得
② クマスプレー
注意点
- 18歳以上の使用を推奨
- 風向きに注意
- 使用期限の確認(3〜5年)
おすすめ商品
- UDAP マグナム クマ撃退スプレー
- 価格:7,000円前後
- 射程:9m
- プロも使用
- カウンターアソールト
- 価格:6,000円前後
- 射程:10m
- 世界的に信頼性が高い
購入場所
- 登山用品店
- Amazon、楽天
- 一部のホームセンター
③ ホイッスル
選び方のポイント
- 大音量(120dB以上)
- 軽量で携帯しやすい
- 濡れても使える
おすすめ商品
- モルテン 電子ホイッスル
- 価格:3,000円前後
- 電子音で確実
- 体力を使わない
④ 防犯カメラ
選び方のポイント
- 夜間撮影可能
- 防水・防塵
- 録画機能付き
おすすめ商品
- パナソニック 屋外カメラ
- 価格:2〜3万円
- 高画質
- スマホで確認可能
⑤ ラジオ
選び方のポイント
- 小型・軽量
- 電池式
- 防水
おすすめ商品
- ソニー ポケットラジオ
- 価格:2,000円前後
- コンパクト
- 音質良好
8. よくある質問
Q1. クマに遭遇したら、死んだふりは有効?
A. 絶対にダメです。
死んだふりは効果がないだけでなく、非常に危険です。クマは好奇心が強く、動かない物体に近づいてくる可能性があります。
正しい対応は「大声を出す」「ゆっくり後退」です。
Q2. クマスプレーの使い方は?
A. 最終手段として使用します。
使用方法
- クマが10m以内に接近したら準備
- 風上に立つ(風下だと自分にかかる)
- クマの顔に向けて噴射
- 噴射しながら後退
注意点
- 事前に練習(空スプレーで)
- 期限切れに注意
- 子どもには持たせない
Q3. 冬はクマは冬眠するから安全?
A. 必ずしも安全ではありません。
近年は暖冬の影響で、冬眠しないクマや冬眠から早く目覚めるクマが増えています。冬でも油断せず、対策を続けましょう。
Q4. クマが好む食べ物は?
A. 雑食性で、何でも食べます。
特に好むもの:
- ドングリ、木の実
- 果物(柿、リンゴなど)
- 野菜(トウモロコシ、イモ類)
- 蜂の巣(蜂蜜)
- 生ゴミ
学校周辺に果樹がある場合は、落下した実をこまめに除去しましょう。
Q5. クマ除けの柵は効果ある?
A. 一定の効果はあります。
電気柵は特に効果的ですが、学校では設置費用や安全面の課題があります。
現実的な対策:
- 侵入しにくい環境整備(草刈り、照明)
- 監視カメラの設置
- 定期的なパトロール
Q6. クマに噛まれたらどうする?
A. 直ちに救急車を呼び、応急処置を行います。
応急処置
- 傷口を清潔な布で圧迫止血
- 患部を心臓より高い位置に
- 動かさず、安静にする
- 救急車到着まで容態を観察
絶対にやってはいけないこと
- 傷口を洗う(感染リスク)
- 無理に動かす
- 放置する
Q7. 学校の予算が少ない。最低限必要なものは?
A. 熊鈴とホイッスルは必須です。
最低限の装備(予算5,000円)
- 熊鈴 × 10個:5,000円
- ホイッスル × 10個:3,000円
- 拡声器(既存のものを活用)
まずはこれだけでも揃えましょう。予算が確保できたら、クマスプレーや防犯カメラを追加します。
まとめ:児童生徒の命を守るために
クマ対策は「備えあれば憂いなし」です。
今日からできること
- クマ対策マニュアルの作成
- 避難訓練の計画
- 防犯グッズの購入
- 保護者への情報共有
- 教職員研修の実施
この記事が、一人でも多くの児童生徒の命を守ることに繋がれば幸いです。
参考リンク
【重要】保護者・地域の皆様へ
学校だけでは、クマ対策は完結しません。保護者、地域住民、行政、学校が一体となって取り組むことが重要です。
ご協力をお願いします
- 登下校の見守り
- クマ目撃情報の共有
- 家庭での安全教育
子どもたちの安全を、一緒に守りましょう。







