「給料が上がる」と聞いたけど、実際どのくらい変わるの?残業代が出るようになるの?

そんな疑問を持ちながら、今日も採点や学級事務に追われている先生も多いと思います。

改正給特法について、現場の先生が気になるポイントに絞って、正直にお伝えします。


まず前提:給特法のおさらい

給特法(1972年施行)は、公立学校の教員に「残業代を払わない代わりに、給料月額の4%を一律支給する」と定めた法律です。

この4%が「教職調整額」です。授業準備に3時間かかろうと、採点で深夜まで残ろうと、調整額は変わりません。

「超勤4項目」(校外実習・学校行事・職員会議・非常災害対応)以外の時間外業務は、制度上は「自発的行為」扱い。これが定額働かせ放題と呼ばれる所以です。


今回の改正で「変わること」

① 教職調整額が10%まで引き上げ(最大の変化)

50年以上ほぼ手つかずだった4%が、2026年1月から段階的に引き上げられます。

時期調整額月額換算(給与30万円の場合)
現在(〜2025年12月)4%12,000円
2026年1月〜5%15,000円
2027年1月〜6%18,000円
〜(毎年1%ずつ)
2031年1月〜(最終)10%30,000円

※給与明細への反映は2026年4月(1月分の調整額が年度に反映)

② 学級担任手当の加算

学級担任を持つ先生に月3,000円程度の手当が加算されます(条例で定めるため金額は自治体によって異なります)。金額は小さいですが、「担任業務を手当で評価する」という考え方が初めて制度化されたことに意味があります。

③ 「主務教諭」の新設

教諭と主幹教諭の間に「主務教諭」という職が新設されます(2026年度〜)。教職員間の調整役を担い、処遇は教諭より月6,000円程度高い見込みです。中堅教員のキャリアパスとして活用できます。

④ 教育委員会への義務化

各教育委員会に「業務量管理・健康確保措置実施計画」の策定と公表が義務付けられます。自治体が働き方改革に取り組む姿勢を対外的に示す仕組みができました。


正直に言います:「変わらないこと」

「残業代は出るようにならないの?」と思った先生、正直に言います。出ません。

残業代(時間外勤務手当)はゼロのまま

今回の改正で「給特法の廃止・残業代支給」を求める声は退けられ、現行の枠組みは維持されました。8万筆超の廃止署名が集まったほど現場の声は強かったのですが、結論は「調整額を上げて対応」という形になっています。

調整額10%は、確かに増えます。でも、月100時間の残業と月20時間の残業で、もらう額は同じです。

「定額働かせ放題」の構造は変わっていない

採点・授業準備・保護者対応・部活動…これらが「自主的行為」とみなされる構造は今回の改正では変わっていません。制度として時間外業務を命令できる範囲(超勤4項目)も変わらずです。

月30時間削減目標は努力義務に近い

「2029年度までに月平均30時間以内」という目標が附則に書き込まれましたが、罰則はありません。目標達成に向けた人員配置や業務整理が伴わなければ、絵に描いた餅になるリスクがあります。


現場の先生へ:この改正をどう活かすか

批判したくなる気持ちはよくわかります。それでも、50年以上凍結されていた制度がついに動いたことは事実です。

  • 教育委員会の計画公表義務化で、自治体が「働き方を見直さなければならない」立場になりました
  • 附則の削減目標は「次の改正に向けた根拠」として使える素材です
  • 勤務時間の記録を日々つけておくことが、制度改善の声を上げるための土台になります

この改正は終着点ではなく、スタート地点です。変わったことを認めながら、まだ変わっていないことへの声を上げ続けることが大切だと思います。


まとめ

内容
✅ 変わること教職調整額:4%→10%(2031年まで毎年1%ずつ)
学級担任手当の新設(月3,000円程度)
主務教諭の新設・教育委員会の義務化
❌ 変わらないこと残業代(時間外勤務手当)は出ない
超勤4項目以外は「自主的行為」扱いのまま
削減目標に罰則なし・自治体差が残る

50年ぶりの制度変更は「前進」です。しかし、残業代ゼロという構造が温存されている以上、「終わった話」ではありません。引き続き学校現場の実態を発信し、次の改革につなげていきましょう。

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ひと息さん
ひと息さん
7年間教員として子どもたちや保護者と関わる中で、「人生の計画を立てることの大切さ」を感じてきました。先生の仕事、プライベートの充実、節約貯金投資など、頑張りすぎず、でも前向きに。そんな働き方や暮らし方を一緒に考えられる場を目指します。FP3級/メンタルヘルス・マネジメント2種3種/基本情報技術者試験