50年ぶりの大改革!教員の給与・働き方はどう変わる?改正給特法完全ガイド

はじめに
2025年6月11日、教員の給与制度を大きく変える「改正給特法」が国会で可決・成立しました。給特法が制定されて以来、約50年ぶりとなる抜本的な改革です。
2026年1月から段階的に実施されるこの改革により、私たち教員の給与体系や働き方がどのように変わるのか、現場で押さえておくべきポイントを実務的な視点から解説します。
【最重要】教職調整額が段階的に10%へ引き上げ
現状の4%から2031年に10%へ
これまで給与月額の4%だった教職調整額が、2026年1月から毎年1%ずつ引き上げられ、2031年1月には10%になります。
引き上げスケジュール(令和7年度〜令和12年度)
| 実施時期 | 教職調整額 | 増加分 |
|---|---|---|
| 2026年1月 | 5% | +1% |
| 2027年1月 | 6% | +2% |
| 2028年1月 | 7% | +3% |
| 2029年1月 | 8% | +4% |
| 2030年1月 | 9% | +5% |
| 2031年1月 | 10% | +6% |
実際の給与への影響は?
例えば、月給30万円の教員の場合:
- 現在(4%): 12,000円
- 2026年1月(5%): 15,000円(+3,000円/月、+36,000円/年)
- 2031年1月(10%): 30,000円(+18,000円/月、+216,000円/年)
ボーナス(期末・勤勉手当)にも反映されるため、年間の増加額はさらに大きくなります。
注意点:残業代が出るわけではない
教職調整額の引き上げは給与アップではありますが、残業代として支給されるわけではありません。給特法による「超過勤務手当を支給しない」という基本的な仕組みは変わらない点に注意が必要です。
【新設】学級担任手当が月3,000円
2026年1月から、学級担任を務める教員に対して月額3,000円の「学級担任手当」が新設される見込みです。
対象者と支給要件
- 小学校・中学校で学級担任を務める教員
- 年間を通じて担任を務めた場合、年間36,000円の増額
- 各都道府県の条例制定が必要なため、自治体によって実施時期が異なる可能性あり
実務上の確認ポイント
- 所属自治体の条例改正の状況を確認
- 副担任や学年主任には適用されるのか(自治体により異なる可能性)
- 年度途中の交代時の取り扱い
【新職】「主務教諭」が創設される
2026年度から、教諭と主幹教諭の間に位置する新しい職「主務教諭」が設置されます。
主務教諭の役割
- 学校横断的な取組の調整
- 各種委員会活動の取りまとめ
- 校内研修の企画・運営
- 外部機関との連絡調整
- 若手教員へのサポート
- メンター制度での指導
- 授業参観とフィードバック
- 困り事の相談対応
- 管理職の補佐業務
- 教頭・副校長の業務軽減
- 学校運営への参画
処遇と任用
- 教諭より月額6,000円程度の手当が上乗せされる見込み
- 中堅教員(おおむね10年目以降)が対象
- 校長の推薦と教育委員会の任命により任用
- 教諭のまま主務教諭の役割を担う(新たな職階ではなく職務)
キャリアパスへの影響
主務教諭の創設により、管理職を目指さない教員にも新たなキャリアの選択肢が生まれます。現場での指導力を活かしながら処遇改善を受けられる点がメリットです。
働き方改革の具体的な取り組み
給与改善だけでなく、働き方改革も同時に進められます。
教育委員会への義務付け
各教育委員会は以下の「実施計画」の策定・公表が義務化されました:
- 業務量の適切な管理
- 在校等時間の上限設定(月45時間、年360時間)
- 業務の見直しと削減
- 健康確保措置
- 産業医との連携体制
- ストレスチェックの実施
- 休暇取得の促進
- 数値目標の設定
- 2029年度までに時間外在校等時間を月平均30時間程度に削減
学校現場で期待される変化
- 35人学級の実現:2026年度から公立中学校でも35人学級が段階的に導入
- 外部人材の活用強化:スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員の配置拡大
- ICT活用による業務効率化:成績処理、出欠管理、保護者連絡等のデジタル化推進
- 不当要求への対応支援:保護者からの理不尽な要求に対する組織的対応の強化
実施スケジュールまとめ
2026年1月〜
- 教職調整額5%へ引き上げ
- 学級担任手当(月3,000円)支給開始
2026年4月〜
- 主務教諭制度スタート
- 公立中学校での35人学級開始(学年進行で実施)
2027年1月〜
- 教職調整額6%へ引き上げ
2029年度まで
- 時間外在校等時間を月平均30時間程度に削減(目標)
2031年1月
- 教職調整額10%達成
現場の教員が今すべきこと
1. 所属自治体の条例改正をチェック
学級担任手当や主務教諭制度の詳細は、各都道府県・政令市の条例で定められます。自治体によって実施時期や内容が異なる可能性があるため、教育委員会からの通知を注意深く確認しましょう。
2. 在校等時間の記録を正確に
働き方改革の効果測定のため、在校等時間の正確な記録が今まで以上に重要になります。ICカードやタイムカードでの打刻を確実に行いましょう。
3. 業務の見直しに積極的に参加
学校全体での業務削減の取り組みが本格化します。職員会議や校務分掌会議で、「やめられる業務」「簡素化できる業務」について積極的に提案しましょう。
4. 主務教諭への理解を深める
主務教諭制度は新しい取り組みです。学校運営にどのような影響があるのか、自分自身のキャリアにどう関係するのか、情報収集を進めておくことが大切です。
5. 給与明細の確認
2026年1月の給与から教職調整額の変更が反映されます。給与明細を確認し、正しく反映されているかチェックしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 教職調整額の引き上げで、月の手取りはどのくらい増えますか?
A. 給与月額や扶養状況によって異なりますが、2026年1月の1%アップで月2,000〜4,000円程度、2031年の6%アップで月15,000〜25,000円程度の手取り増が見込まれます(概算)。
Q2. 残業時間が減らない場合、教職調整額は支給されないのですか?
A. いいえ、教職調整額は在校等時間に関わらず全教員に支給されます。ただし、学校と教育委員会には業務量削減の義務が課されるため、長時間労働の改善が進められます。
Q3. 主務教諭になるには試験がありますか?
A. 具体的な選考方法は自治体によって異なります。多くの場合、校長の推薦をもとに教育委員会が任命する形になると予想されますが、詳細は各自治体の要項を確認してください。
Q4. 非常勤講師や臨時的任用教員にも適用されますか?
A. 教職調整額は正規の教育職員が対象です。非常勤講師等への適用については、各自治体の規定により異なります。
Q5. 私立学校の教員にも適用されますか?
A. 改正給特法は公立学校が対象です。私立学校については、各学校法人の判断となります。
まとめ:改革を現場で活かすために
今回の改正給特法は、給与改善と働き方改革を両輪で進める歴史的な転換点です。しかし、制度が変わるだけで現場が自動的に良くなるわけではありません。
処遇改善を実感するために
- 給与明細の確認と理解
- 新制度(主務教諭、担任手当)の活用
働き方改革を実現するために
- 業務の優先順位付けと削減
- チーム学校としての協働
- 管理職・教育委員会との対話
私たち教員一人ひとりが制度を理解し、学校現場で具体的な改善アクションを起こしていくことが、真の改革につながります。
この改正を機に、子どもたちにより良い教育を届けられる環境を、現場から作り上げていきましょう。








