先生のための投資入門―「コツコツ続ける」が最強の投資法である理由

はじめに
「投資って、結局センスがある人だけが儲かるんでしょ?」 「タイミングを見極めて売買しないと損するんじゃないの?」 「株価が下がったら怖いから、今は様子見した方がいいかも…」
投資に対して、こんなイメージを持っていませんか?
実は、それは大きな誤解です。投資で成功するために必要なのは、センスでも特別な才能でもありません。必要なのは「コツコツ続ける力」。それだけです。
教師という仕事は、生徒の成長を信じて、毎日地道に積み重ねていく仕事です。その「コツコツ」の精神こそが、実は投資でも最強の武器になるのです。
今日は、ウォール街の名著『ランダム・ウォーカー』と「ジャスト・キープ・バイイング(Just Keep Buying)」の考え方から学ぶ、先生のための投資マインドをお伝えします。
1. ドルコスト平均法―教師に最適な投資法
ドルコスト平均法とは?
毎月決まった金額を、決まったタイミングで投資する方法です。例えば「毎月1日に3万円分、投資信託を買う」と決めたら、それを淡々と続けます。
なぜ教師に向いているのか?
理由は3つあります。
①安定した収入がある 教師は毎月安定した給料が入ります。これは投資において大きなアドバンテージ。毎月コツコツ積み立てるのに最適な職業なのです。
②忙しくて相場を見る時間がない 「これは強みになります」。毎日チャートを見て一喜一憂する必要がありません。設定したら放置でOK。むしろ、相場を見ないことが成功の秘訣です。
③長期的な視点を持てる 生徒の成長を長い目で見守る教師の仕事。その感覚は、長期投資にそのまま活かせます。
ドルコスト平均法の仕組み
毎月3万円ずつ投資すると仮定します。
- 株価が高いとき →少ない口数しか買えない
- 株価が安いとき →多くの口数が買える
結果として、平均購入単価が自然と下がります。
具体例
| 月 | 株価 | 購入口数 |
|---|---|---|
| 1月 | 10,000円 | 3口 |
| 2月 | 7,500円 | 4口 |
| 3月 | 12,000円 | 2.5口 |
3ヶ月で9万円投資して、9.5口購入。平均購入単価は約9,474円。
もし1月に9万円を一括投資していたら、9口しか買えず、購入単価は10,000円のままです。
ポイント 「いつ買うか」というタイミングを考える必要がないのが、ドルコスト平均法の最大のメリットです。
2. 円高時に売り逃げしてはいけない―その理由
よくある失敗パターン
「最近、株価が下がってきたな…もっと下がる前に売っておこう」 「円高になってきた。損が広がる前に撤退しよう」
気持ちは分かります。でも、これが投資で失敗する典型的なパターンです。
なぜ売ってはいけないのか?
①下落は一時的なもの
過去のデータを見ると、株式市場は長期的には右肩上がりです。リーマンショック、コロナショック、様々な暴落がありましたが、数年後には必ず回復しています。
アメリカのS&P500は、過去100年間で見ると年平均約7〜10%の成長を続けています。途中何度も暴落がありましたが、持ち続けた人は報われてきました。
②下落時こそ買い時
ドルコスト平均法で積み立てを続けていると、株価が下がったときは「安く買えるチャンス」になります。
バーゲンセールで服を買うように、株も安いときに買えるのはラッキーなことなのです。
③売ったら損失が確定する
含み損の状態では、まだ「損」ではありません。でも売ってしまった瞬間、それは確定した損失になります。
一方、持ち続けていれば回復の可能性があります。
実際の例
2020年3月、コロナショックで株価が暴落しました。
- パニックになって売った人 →損失確定
- 積み立てを続けた人 →安く買い増しできた
- 1年後 →株価は暴落前を超えて回復
積み立てを続けた人は、結果的に大きく資産を増やしました。
教訓 短期的な変動に惑わされず、「Just Keep Buying(ただ買い続ける)」ことが大切です。
3. 『ランダム・ウォーカー』が教えてくれること
『ランダム・ウォーカー』とは?
バートン・マルキール著の名著。1973年の初版以来、世界中で読み続けられている投資のバイブルです。
核心的なメッセージ
「市場は予測不可能。プロでも素人でも、未来の株価を当てることはできない」
だから、どうすればいい?
答えはシンプル。
①市場全体に投資する(インデックスファンド) 個別株を選ぶのではなく、市場全体に分散投資する。日本株なら日経225やTOPIX、アメリカ株ならS&P500、世界全体ならオールカントリー。
②長期で保有する 短期売買で利益を出そうとしない。10年、20年、30年という長期で持ち続ける。
③コストを抑える 手数料の安いインデックスファンドを選ぶ。年0.1%の差でも、30年後には大きな差になります。
教師への応用
「どの銘柄を選べばいいか分からない」→全部買えばいい(インデックスファンド) 「いつ買えばいいか分からない」→毎月買えばいい(ドルコスト平均法) 「いつ売ればいいか分からない」→売らなければいい(長期保有)
シンプルですよね。
マルキールの教え 「投資はつまらないほどシンプルであるべき。複雑にすればするほど、失敗する」
4. Just Keep Buying―ただ買い続ける哲学
『Just Keep Buying』とは?
データサイエンティストのニック・マギューリが書いた投資本。タイトル通り「ただ買い続けろ」というシンプルなメッセージです。
核心的な主張
「最高のタイミングを待つより、今すぐ始めて続けることの方が重要」
データが示す真実
彼は膨大なデータを分析して、こう結論づけました。
「どんなタイミングで始めても、長期で続ければ報われる」
例えば
- 最高のタイミング(株価の底)で投資を始めた人
- 最悪のタイミング(株価の天井)で投資を始めた人
- ランダムなタイミングで投資を始めた人
30年後、この3者の資産額の差は思ったほど大きくありません。
重要なのは「タイミング」ではなく「続けたこと」だったのです。
もう一つの重要な発見
「暴落時に買い続けた人が、最も大きなリターンを得た」
つまり、下がっているときこそチャンス。そこで諦めずに買い続けられるかが、成功の分かれ道です。
教師に置き換えると
生徒指導がうまくいかない日も、授業が失敗した日も、それでも毎日教壇に立ち続ける。その積み重ねが、いつか実を結びます。
投資も同じ。相場が悪い日も、含み損が出ている日も、それでも積み立てを続ける。その積み重ねが、いつか大きな資産になります。
5. 教師の投資マインド―授業から学ぶ投資哲学
①「すぐには結果が出ない」を受け入れる
授業をしても、生徒はすぐには変わりません。でも、半年後、1年後、卒業後に「先生のおかげです」と言ってくれることがあります。
投資も同じ。今日買った投資信託が、明日2倍になることはありません。でも5年後、10年後には大きく成長しているかもしれません。
②「日々の変動に一喜一憂しない」
毎日の授業で完璧を目指していたら疲れてしまいます。うまくいく日も、失敗する日もある。それでいい。
投資も同じ。毎日の株価の上下に一喜一憂していたら疲れてしまいます。長期的な視点を持つ。それが大切。
③「続けることが力になる」
教師の仕事は、一発逆転のドラマではありません。毎日コツコツ、地道に積み重ねること。それが生徒の成長につながります。
投資も同じ。一発逆転を狙った取引ではなく、毎月コツコツ積み立てること。それが資産形成につながります。
④「分散の大切さ」
一人の生徒にだけ注目していたら、学級経営はうまくいきません。クラス全体を見る。それが大切。
投資も同じ。一つの銘柄に全財産を投じるのは危険です。分散投資。それが大切。
6. 具体的な実践方法―今日から始める長期投資
ステップ1:証券口座を開く
- 楽天証券、SBI証券などのネット証券
- NISA口座も同時に申し込む(新NISAは投資の利益が非課税)
ステップ2:積立設定をする
- 毎月の積立額を決める(例:月3万円)
- 購入日を決める(例:毎月1日)
- 自動引き落とし設定をする
ステップ3:投資先を選ぶ
初心者におすすめ:
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
※特定の商品を推奨するものではありません。ご自身で判断してください。
ステップ4:放置する
設定したら、あとは放置。毎日株価をチェックする必要はありません。
年に1〜2回、資産状況を確認するくらいでOKです。
絶対に守るべきルール
- 暴落しても売らない
- 積み立てを止めない
- 短期的な値動きに惑わされない
- 余裕資金で投資する(生活費には手をつけない)
7. よくある質問と不安への回答
Q1:今から始めても遅くないですか?
遅くありません。「今日が一番若い日」です。10年後の自分が「あのとき始めておいてよかった」と思うはずです。
Q2:暴落が怖いです
暴落は必ず来ます。でも、それは「安く買えるチャンス」です。過去のデータを見れば、暴落後は必ず回復しています。
Q3:元本割れしたらどうしますか?
短期的には元本割れすることもあります。でも売らなければ損失は確定しません。長期で見れば回復する可能性が高いです。
Q4:どのくらいの期間続ければいいですか?
最低10年、できれば20〜30年。退職後の資金として考えるなら、定年まで続けるのが理想です。
Q5:途中でお金が必要になったら?
NISA口座でも、いつでも引き出せます。ただし、できるだけ長期で持ち続けた方が効果は大きいです。
Q6:投資について勉強しないとダメですか?
インデックス投資なら、複雑な知識は不要です。「市場全体に長期分散投資する」という基本さえ押さえれば大丈夫。
8. シミュレーション―30年後の未来
前提条件
- 毎月3万円を積み立て
- 年利5%で運用(過去の世界株式の平均的なリターン)
- 30年間継続
結果
- 投資元本:1,080万円(3万円×12ヶ月×30年)
- 運用結果:約2,500万円
つまり、約1,420万円が運用益です。
もし月5万円なら?
- 投資元本:1,800万円
- 運用結果:約4,161万円
- 運用益:約2,361万円
これが複利の力
アインシュタインは「複利は人類最大の発明」と言いました。時間を味方につければ、お金がお金を生む仕組みができます。
おわりに―コツコツが勝つコツ
投資で成功する秘訣は、実は教師が日々実践していること
- 長期的な視点を持つ
- 毎日コツコツ積み重ねる
- すぐに結果を求めない
- 一時的な失敗にくじけない
- 信じて続ける
授業準備、学級経営、生徒指導。どれも一朝一夕には結果が出ません。でも、続けることで必ず実を結びます。
投資も同じです。
「Just Keep Buying」―ただ買い続ける
これが最強の投資法です。
相場が上がっても、下がっても、淡々と積み立てを続ける。それだけで、あなたは「勝ち組投資家」になれます。
最後に
投資は、未来の自分へのプレゼントです。
今日から始めれば、10年後、20年後、30年後の自分が感謝してくれるはずです。
「あのとき、コツコツ続けておいてよかった」と。
教師という仕事で培った「コツコツ続ける力」を、投資にも活かしてみませんか?
参考文献
- 『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール著
- 『Just Keep Buying』ニック・マギューリ著
免責事項 本記事は投資の参考情報であり、特定の商品を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。不安な方はファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。








