「近すぎず、遠すぎず」が自分を守る。令和の教員に求められる「プロフェッショナルな距離感」と自己防衛術

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はじめに
令和の学校現場では、生徒との「距離感」の取り方が以前よりも格段に難しくなっています。
「生徒のために」という善意で行った行動が、時に不適切な関係を疑われたり、ハラスメントと捉えられたりするリスクを孕んでいるからです。
今の時代、教員が自分自身を守ることは、結果として生徒の日常を守ることにもつながります。今回は、令和の教員が心得ておくべき「自己防衛のための距離感」について考えます。
1. 「密室」を物理的・心理的に作らない
自己防衛の鉄則は、いかなる場合も「密室」を作らないことです。
- 物理的な空間: 放課後の教室や準備室で、1対1で長時間話すのは避けましょう。どうしても相談が必要な場合は、ドアを開放するか、他の教職員の目が届く場所を選びます。
- 心理的な密室: 「これは二人だけの秘密だよ」といった発言は、生徒に過度な依存心を与え、後にトラブルの火種になります。常に「他の先生や保護者に聞かれても問題ない会話」を意識しましょう。
2. デジタル空間での「境界線」を死守する
SNSやチャットツールの普及により、プライベートと仕事の境界が曖昧になりがちです。
- 個人アカウントの非公開: 生徒や保護者に私的なSNSを見られないよう、鍵をかける、あるいは検索されない工夫が必要です。
- DM(ダイレクトメッセージ)の禁止: 学習相談であっても、個人のLINEやSNSでのやり取りは厳禁。必ず学校公式のツールや、複数の教員が確認できるチャネルを通しましょう。
3. 「親しみやすさ」と「友達感覚」を混同しない
生徒から慕われたいという思いは大切ですが、教員はあくまで「教育のプロフェッショナル」です。
- 言葉遣いの規律: 生徒に対して友達言葉を使いすぎないこと。一定の礼節を保つことが、いざという時の指導の威厳を守り、過度な馴れ合いを防ぎます。
- 身体接触の回避: 令和の時代、励ましのつもりで肩を叩く行為もリスクになり得ます。言葉によるエンパワメントを基本にしましょう。
4. 感情の「抱え込み」をしない
生徒の深刻な悩みを聞いたとき、一人の教員がすべてを背負い込むのは危険です。
- 組織での対応: 深刻なケースほど、学年主任や養護教諭、スクールカウンセラーと情報を共有してください。「自分しか知らない」という状況は、生徒からの過度な依存を生み、教員のメンタルを削ります。
- 「記録」を残す: トラブルになりそうな予感がした際は、いつ、どこで、どのような話をしたか、客観的な事実を記録(ログ)に残しておくことが最大の防御になります。
結びに:自分を大切にすることが、良い教育への第一歩
「生徒のために」と自分を犠牲にする姿勢は尊いものですが、あなたがトラブルに巻き込まれたり、体調を崩したりしては、元も子もありません。
適切な距離感とは、生徒を突き放すことではなく、お互いが安全に過ごせる「聖域」を作ることです。プロとしての規律を持ち、自分を守るためのアンテナを高く張る。それこそが、令和の時代に長く教育に携わっていくための必須スキルと言えるでしょう。
今回のまとめ
- 1対1の状況を避け、透明性を確保する
- SNS等のデジタル連絡は「公的な窓口」に限定する
- 感情的に深入りせず、組織で生徒を見守る








